文法・品詞別(形容詞)

形容詞について⑤(比較級)

形容詞の比較級

形容詞の主な役割は、名詞を修飾することですが、もう1つ形容詞ならではの特徴があります。

「比較」です。

英語では「more」(eg. interesting – more interesting)とか「-er」(eg. fast – faster)とかで表されるアレです。

しかし、その前に形容詞の種類を確認しておきましょう。

形容詞の種類

形容詞の種類? 赤色タイプとか金色タイプとかのこと?

いえいえ、それは「変化タイプ」でした。どんな形容詞であれ、基本的に修飾する名詞の性・数・格に応じて変化をします。その変化のパターンが赤色とか紺色とか金色のタイプでした。

ここでいう種類は意味的なものです。大きく分けて2種類あります。順番に見ていきましょう。

性質形容詞

私たち日本人が形容詞と言えば最初に思い浮かべるのが、この性質形容詞でしょう。

新しいスーツケース」……новый чемодан
美しいカバン」……красивая сумка
長い手紙」……длинное письмо
高価な時計」……дорогие часы

主にモノの性質を表し、2つのモノがあれば「比較することができる」性質です。

※例のごとく、単語の中の赤文字はアクセントがある場所です。

関係形容詞

これは日本人には馴染みの薄い形容詞かもしれません。というのも、この種類のものは日本語では形容詞に含められないことが多いからです。例を見てみましょう。

木製の家」……деревянный дом
日本の文学」……японская литература
春の朝」……весеннее утро
父の時計」……отцовские часы

木製の……日本の……これ、形容詞ですか?

日本語をベースに考えると形容詞に見えないかもしれませんが、ロシア語では、これらは立派な形容詞です。「形容詞である」という決め手は、①語尾(-ый, -ая, -ее, -ие)が形容詞の語尾である、②被修飾語となる名詞の性に応じて変化している、という点です。

(こちらも参照→形容詞について①

こちらの形容詞は、性質形容詞とは異なり、「あるモノとモノの関係性」を表します。「木製の家」は「家の材質」を表すし、「日本の文学」、「春の朝」はどこの文学、いつの朝かを限定的に表しています。いずれも形の上で形容詞、かつ名詞を修飾するという意味の上でも形容詞となっています。

※ちなみに「父の時計」の「父の」にあたる形容詞は、関係形容詞の中でも所有主を表す「物主形容詞」という名前がついています。英語の「’s」のようなものです。

ここでは形容詞の比較級についてご紹介したいのですが、基本的に比較級になることができるのは「性質形容詞」のみです。

比較級の形・2種類+

形容詞を比較級にするには、大きく分けて2種類あります。1つずつ見ていきましょう。

более比較級

1つ目は「более比較級」。これは簡単です。形容詞の前に「более」を置くだけです。

Это новая сумка.
「これは新しいカバンです」
Я читаю интересный роман.
「私は面白い小説を読んでいます」

↓ 比較級にすると……

Это более новая сумка.
「これはもっと新しいカバンです」
Я читаю более интересный роман.
「私はもっと面白い小説を読んでいます

これだけ。ロシア語の単語は形がコロコロ変わるイメージがあるかもしれませんが、「более」はずーっとこのままです。

簡単、簡単!

ее比較級

2つ目は「ее比較級」。先ほどのように「つけるだけ」というわけにはいきません。「語尾」を変化させて作ります。

「語尾」については、こちらもご参照。→ 形容詞について②

比較級、作ってみましょう。

новый → новее もっと新しい
интересный → интереснее もっと面白い

語尾を比較級に変えてしまったので、形容詞の性・数・格が消えてしまいます。これはラッキー♪(?)

しかし!

赤い文字の場所に注目。アクセント移動が起こることがあります。

さらに使い方にも注意。「более比較級」の例文をこちらに再現。

Это более новая сумка.
「これはもっと新しいカバンです」

下線の部分をее比較級に置き換えることができません。同じような内容を言いたい場合、文の形を少し変えなければいけません。

Эта сумка новее.
「このカバンはもっと新しいです

あ、なるほど! 述語にしなきゃいけないってことですね?

そうです!

えー、どっちも同じじゃ……

たしかに、言わんとすることはほとんど同じです。違うのは文の形、つまり構文です。

1文目:「これはもっと新しいカバンです」
意味:これはカバンだ。どんなカバンかというと、もっと新しいカバンだ。
文法:「もっと新しい」はカバンを修飾している

2文目:このカバンはもっと新しいです。
意味:(特定のカバンを指しながら)このカバンは、(どんなのかというと)もっと新しいよ。
文法:「もっと新しい」は文の述語(文の〆)。

う~~~(困惑)

もっと簡単に言うならば、「名詞の前に置かないで!」です!(汗)

ее比較級が作れない形容詞

形容詞は、基本的に「более比較級」と「ее比較級」という2種類の比較級を作ることができます。

しかし、いくつかの形容詞は「ее比較級」を作ることができず、特殊変化をします。英語の「good – better」のようなものですね。「いくつか」と言いましたが、およそ70~80個あるそうです。(現在、確認中)

特殊変化をする条件はいくつかありますが、その条件を覚えるより、まずはいくつかの頻出単語を覚えてしまうのが得策です。

意味 原級(not比較級) 比較級
よい хороший лучше
悪い плохой хуже
大きい большой больше
小さい маленький меньше
高い(値段が) дорогой дороже
安い дешёвый дешевле

ここに挙げたのは70~80個には程遠いですね。必要とあらば、いつか掲載しましょう!

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