文法・品詞別(名詞)

名詞について①(名詞の性)

名詞の性

ロシア語の名詞には3つの性別があります。

  • 男性名詞
  • 女性名詞
  • 中性名詞

 名詞というのは、簡単に言うと物の名称ですが、例えば、ロシア語で「スーツケース」は男性名詞、「カバン」は女性名詞、「肉」は中性名詞です。

はぁぁ?

どういうこと?  って感じですね。

へ〜。でも、ま、なんとなくスーツケースは男っぽいかな

いや、そんなわけないでしょう(笑)

ひょっとしたら、英語以外の他のヨーロッパ言語をやったことがある人は、聞いたことがあるかもしれませんね。

なぜ名詞の性があるかというと、「名詞の変化の仕方が(大雑把に言って)3種類ある」からです。なので、変化の仕方をうまくまとめて説明するのに、3種類に分ける必要があったのです。別に生物のように、「男」「女」という分け方にしなくてもよかったのでしょうが、これはもう言語学の古い伝統となっています。

どうやって区別する?

外国語を勉強し始めると、まずやらなければならないのは単語を覚えることです。

文法もいるんでしょ?

お、まじめですね!(´∀`)

もちろん、文法も、発音練習も必要ですが、単語のストックがなければ話が始まりません。

日本語で「スーツケース」は、ロシア語で「чемодан」、「カバン」は「сумка」、「肉」は「мясо」……といった具合に、覚えていくわけです。

※単語の中の赤い文字はアクセントの場所を示しています。

先程、「スーツケース」は男性名詞、「カバン」は女性名詞、「肉」は中性名詞と述べました。どうやって区別するのでしょうか。

ロシア語の場合、性の区別は比較的簡単です。

語末の文字に注目!

では、順番に見ていきましょう。

男性名詞

男性名詞の単語は、「子音」で終わります。

ロシア語の子音……見た目的には次の3種類を考えてもらったら分かりやすいと思います。

  1. 語末が、いわゆる普通の子音(б, в, д, н等)
  2. 語末が「й」
  3. 語末が「ь」

「й」は、「短いイ」というやつですが、なんと母音ではありません。つまり、こいつは子音です。また、「ь」はこれだけで発音できない「軟音記号」という記号なのですが、必ず子音にくっついて用いられます。これも子音とみなされます。

では、男性名詞の例をいくつか見てみましょう(^O^)♪

чемодан 「スーツケース」
билет 「チケット」
музей 「美術館」
обычай 「習慣」
водитель 「運転手」
шампунь 「シャンプー」

下線を引いたところが、注目すべきところです。

女性名詞

女性名詞の単語は、基本的に「ア」の音で終わります。また、「ь」で終わるものもあります。

「ア」で終わるというのは、次のようなものを指します。

  1. 語末に「а」がある
  2. 語末に「я」がある
  3. 語末が「ь」

同じように例を見てみましょう。

виза 「ビザ(査証)」
СИМ-карта 「SIMカード」
тётя 「叔母」
неделя 「週」
цель 「目的」
болезнь 「病気」

下線部分が区別のポイントです。

中性名詞

中性名詞の単語は「о」か「е/ё」で終わります。また、数は少ないのですが、「мя」で終わるものもあります。

  • 語末に「о」がある
  • 語末に「е」または「ё」がある
  • 語末が「мя」である

「мя」は、「я」で終わる女性名詞と勘違いしそうですが、「мя」だけは例外です。これは中性名詞です。こいつはとても数が少ないです。(全部で10語)

具体的に見てみましょう。

блюдо 「料理」
лекарство 「薬」
платье 「ワンピース」
солнце 「太陽」
имя 「名前」
время 「時間」

下線部分が区別のポイントです。

名詞の性(まとめ)

表にまとめてみましょう。

ロシア語の初級の文法書をお持ちの方には、この表はもうお馴染みですね。(笑)

名詞の性 特  徴(語末がどうなっているか)
男性名詞 子音(一般的な子音、й、ь)
女性名詞 аまたはя、ь
中性名詞 оまたはеまたはё、мя

ヨーロッパ言語の中には力業で名詞の性を覚えなさいというものもあるので、ロシア語は、まだ分かりやすい方かもしれません。

ただし、いくつか注意点があります。

実際の性別は大事!

例えば、「お父さん」という単語は「папа」、「叔父」という単語は「дядя」です。

「а」と「я」で終わっているから女性名詞!

……なんか気持ち悪いですよね。実際に性別のあるもの(人、動物)を表す単語の場合、その性別に合わせることになります。なので……

「папа」「дядя」……男性名詞

となります。

結局、覚えるんかい!  の「ь」

語末に「ь」がある場合。結局、覚えるしかありません。

  • словарь  「辞書」  男性名詞
  • соль  「塩」  女性名詞

「書籍の形態をしてたら男性名詞かな?」→いえ、「тетрадь(ノート)」は女性名詞です。

「食べ物は女性名詞かな?」→いえいえ、「картофель(じゃがいも)」は男性名詞です。

意味的に何かヒントでもあればいいのですが、ないのです。意味からアプローチするのは無駄なあがきです。そんなこと考えるより、覚えましょう。

ただ、形の上ではいくつかヒントはあります。

  • -тельで終わる単語は約97%が男性名詞(водитель、учитель)
  • 月の名称(1月、2月……)は12ヶ月とも男性名詞
  • -чь、-жь、-шь、-щьで終わる単語は必ず女性名詞(約50語)
  • -остьで終わる単語は必ず女性名詞(約1000語)

実際のところ、「ь」で終わる単語は、女性名詞であることが多く、およそ70%を占めています。しかし、勘に頼るよりは、丁寧に覚えていくことをお勧めします。

ちなみに語数のデータは、私が酔狂で手元の辞書の語を数えたものです。(手元の辞書=『博友社ロシア語辞典』、初版1975年。……旧版の上に、大御所の研究社・岩波の辞書でないのが残念ですが。研究社・岩波はさすがに数える勇気がなかった! 一人で手作業で数えているので多少の誤差はお許しを!)

両性具有?!

「папа」、「дядя」は「а」、「я」で終わるのに、男性名詞でした。実際の性別に合わせるんでしたね。

他に「а」「я」で終わるものの中で、男性名詞にも女性名詞にもなる両性具有的、ミミズみたいな単語もあります。

  • коллега 「同僚」 男性女性名詞
  • убийца 「殺人者」 男性女性名詞

つまり、自分の同僚が男性であれば、「коллега」は男性名詞となり、女性であれば「коллега」は女性名詞となります。こいうものを「総性名詞」と呼びます。

えー、それなら「коллега」は「同僚」でいいじゃん。なぜこんなややこしい区別を覚えなきゃいけないんだ……

単語の意味としては「同僚」で覚えてもらってもよいのですが、名詞の性は他の単語に様々な影響を及ぼします。

  • Это мой коллега.(同僚は男) 「こちらは私の同僚です」
  • Это моя коллега.(同僚は女) 「こちらは私の同僚です」

同僚が男性の場合と女性の場合で、紹介の仕方が変わっていますね。あるいは……

  • Тот убийца уже сделал своё дело.「その殺人犯はすでにやることはやった」(殺人犯は男)
  • Та убийца уже сделала своё дело.「その殺人犯はすでにやることはやった」(殺人犯は女)

つまり、文を作るときに名詞が男性名詞か女性名詞か(あるいは中性名詞か)の区別を知っていることはとても重要なのです。

以上、名詞の性でした。

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