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ロシア語を覚えるのは大変?そんな時はゴロ合わせ!

『楽しく!おもしろく!ゴロで覚えるロシア語』、阿部昇吉著、国際語学者、2003年

ロシア語は難しいイメージ?

「ロシア語は難しそう……」

始める前の人も、始めようかなと思う人も、始め始めた人も、こんなイメージがあるのではないでしょうか?

あなたのそのイメージ、間違っていません!!!

実際、難しいのです。だって、挨拶からして……

Здравствуйте! ズドゥラーストゥヴィチェ!

(こんにちは、という意味)

最初の2音(ズド)で一瞬くじけそうになるでしょう?

いや、それ以前に文字が……という方も多いと思います。

ロシア語学習者の前に立ちはだかる壁は4つです。それは、「文字」「発音」「文法」そして「語彙」。

このうち、「文字」は最初の短期間で突破できます。早い人で1週間、ゆっくりコツコツ……という人でも1か月で読めるようになるでしょう。普通、「文字」と合わせて「発音」も覚えていくことになりますが、ロシア語は文字と音との相関が強く、それぞれの文字の音を丁寧に覚えていくと発音もそこそこの形に仕上がります(仕上がるハズ!)。

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そして、文法……これは確かに厄介なシロモノです。覚えることがいっぱいです。例外も山ほどあります。覚えた後も、完了体・不完了体動詞、長語尾・短語尾形容詞、運動の動詞~~~~と追いかけても追いかけても手の届かない獲物を追い続けることになります。

……と、ここまでハマってしまうのは一部のマニアです。旅行の会話や友人との語らいが目的であれば、文法も基本を押さえていれば大丈夫でしょう(楽観的?)。ロシア語の文法は難しい側面もありますが、それ以上に「面倒くさい」ものと言えます。

だって、変化は無限にあるわけではないので、覚えてしまえばいいわけです。その「覚える」作業が難しいというなら、それは勉強の努力の問題で、ロシア語の文法が難しいというのは、無実の罪、または軽犯罪(?)なのに重刑を負わされているようなものです。

同じ覚える難しさでも、文法より難しいものがあります。「語彙」です! これこそ無限のアリ地獄です。

ロシア語に立ち向かうあなたの救世主?!

例えば、「こんにちは」という語。

英語なら「ハロー」「ハーイ」などぱっと浮かびそうなところですが、ロシア語の「ズドゥラーストゥヴィチェ」はロシア語をわざわざ習おうと決意しないとなかなか覚えきれません。「犬」は「サバーカ」、「猫」は「コーット」……単語にイメージを焼き付ける作業はとても大変。

そこでこの度ご紹介する『楽しく!おもしろく!ゴロで覚えるロシア語』の登場です!

私が本書と出会ったのは、町の大きな本屋さん。ネット社会とはいえ、書物はやはり実物を見てから買いたいんです、私。そして大きな本屋さんまで行かないと、なかなかロシア語書籍には出会えません。

いつもの巡回で、ロシア語の本棚をあさっていると「ゴロで覚える」の文字が……。

「ゴロ」って「イイクニツクロウ鎌倉幕府」というあれか? と目を疑いました。しかし、確かに……覚えるのが大変だから、語呂合わせをして覚えたんだよな……そうか、なるほど……?

頭の中でナルホドという気持ちと、ナゼという気持ちが交錯する中、キワモノ好きな私はもちろん手に取りました。開くと、そこには……

「ドキドキ、ハラハラ、ショーはすばらしい!」(ハラショー=すばらしい)

とな。こ、これは……(絶句)

作者の世界観をちょっとだけご紹介

もちろん購入しました! 立ち読みで済ませるには惜しい166ページ。

今は電子書籍でのみ入手可能なようです。書籍はもはや貴重版(?!)

「ハラハラショー」の他にも目を見張る「作品」がたくさんあります。少しだけ作者の世界観をご紹介。

もちろんイエスだー! / Да.[ダー] / (意味)はい、そうです。

『楽しく!おもしろく!ゴロで覚えるロシア語』、8ページ

スパッ、芝を刈ってくれて、ありがとう!」 / Спасибо.[スパシーバ] / (意味)ありがとう。

『楽しく!おもしろく!ゴロで覚えるロシア語』、7ページ

私、パパも笑むと思う。 / По-моему, ~[パモーィエムー] / (意味)私の考えでは

『楽しく!おもしろく!ゴロで覚えるロシア語』、89ページ

おまけにもう一つ。

バスト、ラブリーや言うて、バストで結婚?!おめでとう! /Поздравляю вас с~[パズロラヴリャーユ ヴァス] / (意味)~おめでとうございます。

『楽しく!おもしろく!ゴロで覚えるロシア語』、138ページ

もはや関西弁かいな……。

いかがでしょう、みなさん……。「すごい! これで語彙力アップ間違いなし!!!」と目を見開かれた方は、教材として購入するのもありでしょう。

読み物としてオススメ。あるいは自分で作ってみる?

しかし……これで覚えられるかというと、「この語呂合わせを覚える労力の方がはるかに大きい」と言わざるを得ません。(いえ、覚えるのは不可能と言っているのではありません! Amazonのレビューを拝見すると、「覚えるのに最適!」といったコメントも見られます。)

ちなみに、私はこの本を、ロシア語を知らない友人に読み上げてもらい、覚えるべきロシア語がわかるかどうかを試してみました。

なんと、大方分かるのですよ!!!(笑)

例文の中に意味がしっかり出てくるので、そこから逆算すると、うっすらロシア語が浮かび上がってきます。これはなかなかすごい。

ただ、初学者が単語を覚えるならば、うーん、私はやはり正攻法をお勧めしたいかな……。あるいは、ロシア語に一歩踏み込む前の学習希望者が、どんな単語があるのだろうと覗き込むのにちょうどいいように思います。お化け屋敷に入る前に、屋敷内の地図をもらって小さな安心感を得るような……ちがうか?(苦笑)

今回この本を取り上げたのは、是非「読み物」としてお楽しみいただきたいという思いからです。というより、作者もそういう気持ちで作ったのではないかと思います。その証拠に、「表現集」なのに、索引がついていないのです。そのため、覚えた表現をもう一度確認したいときに、本書の中で探し出すのがとても大変。これはつまり、単語・表現の反復練習を想定したものではなく、エンターテインメントとして提示したものであるということです!(知らんけど)

私はこのエンターテインメント性のおかげでまんまと本書を購入しました。作者がどこまでやり通したのかを確認したいがために。家に持ち帰った後、ゆっくり最後まで読み通しました。さらには、友人を巻き込んで表現当てっこゲームまでやりました。読み物として満悦至極です。(あるいは、単語を覚えながら、自分で語呂合わせを考えていくのも楽しいかも。私はやってみようとした結果、本書全166ページを埋め尽くす語呂合わせ群を生み出した作者のすごさを実感しています。)

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